フォントの使用許諾について恐れ慄きながら調べたよ。

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先月、既存のフォントを使ったロゴが権利の問題で揉めに揉めているという事件が、私の近くで起こりました。
以前、ツイッター上で”MSゴシック・MS明朝は同人誌で使えるのか”という話題が出ていたこともありました。

身近にありすぎて、そして身近で商業に使われすぎていて、
どの範囲まで使えて、どの範囲からは使えないのか忘れがちなフォント。

今回は、私的メモもかねて、フォントの使用許諾について調べてみました。

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そもそも使用許諾って

さて、上で”使用許諾について調べてみました。”と書きましたが、そもそも使用許諾とは何なのでしょう。

使用許諾契約とは、ソフトウェアなどの開発者やメーカーとユーザーとの間で取り交わされる契約のことである。無形物としてのソフトウェアの使用権を認めるもので、契約は民事扱いとなり、著作権法の保護に優先される。

IT用語辞典

ざっくり言ってしまうと、ソフトをインストールする際に出てくる、長すぎる文章の中身ですね。
大体の場合が”同意して進む”の選択を強いられるアレですね。

この部分や、製品パッケージの中に入っている紙に重要な情報が入っているわけです。
疑問にも思わないような当たり前の禁則事項もふんだんに盛り込まれているので、良いことかどうかは別として、読まないで飛ばしてしまう人が大半だと思います。

このなかから、フォントについての使用許諾を探すのは骨の折れる作業ですが、
公式サイトをみると使用許諾に関するページを持っている会社が多々あります。なんという親切設計。
自分と同じようにいざというときに不安に駆られる人が沢山いるんでしょうね。

前置きはこれくらいにして、本題である、フォントの使用許諾についてです。
今回は、日本語フォントを販売している7つの会社の使用許諾の範囲について調べてみました。
基本的には、各会社の使用許諾について書かれているページを簡単にまとめたものなので、過不足があるとは思いますが、参考になればと思います。

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モリサワフォント

誰もが知っている有名なモリサワさんです。
JRの表札に使われている”新ゴ”をはじめ、この会社が作っているフォントを見ない日はないでしょう。

使用できるの範囲

  • 印刷物での頒布
  • テレビ等でのテロップ・フリップ表示(映像等の表示も含む)
  • ゲームソフトでの表示および頒布
  • ビデオ、DVDでの表示および頒布
  • インターネットでの表示および頒布
  • 印鑑、スタンプ等の作成および頒布

備考

モリサワフォントを使用(改変を含む)して社名、ブランド名、商品名を表すロゴ、マーク等を作成することは問題ありませんが、デザイン、意匠を含めた商標として登録することは出来ません。

詳しくはこちら

DynaFont

メジャーなものから少し変わったものまで揃うDynaFont。
“攻殻機動隊”のロゴにも使われている”金文体”などが特徴があり、記憶に残っている方も多いと思います。

使用のできる範囲

パッケージの使用許諾範囲に含まれる代表的な使用方法は「紙媒体への印刷(チラシ・広告等の商用印刷物含む)」や、「パッケージをご購入の方のホームページ内のみでの使用(法人も含む)」、「家庭内など個人で楽しむ映像作品」などとなります。

新たに契約が必要な場合

  • ダイナフォントを用いたロゴマークなどのデザインを「商標登録」するなど、法的保護を受ける場合
  • DVD、テレビ放送、ゲームなど、フォントから生成した画像データを含む電子データ及びコンテンツを複数配信・配布・販売する場合。
  • フォントライセンスを持たないユーザがサーバにインストールされたフォントを使用して成果物を得るようなASPサービス。
  • 画像データをダウンロードするなどの配布行為や、フォントのライセンスをお持ちでない方のホームページに提供するような場合。

上記の場合は、事前に「許諾契約」が別途必要となるそうです。

詳しくはこちら

千都フォント

Macユーザーさん!!ヒラギノですよ!!ヒラギノ!!

使用できるの範囲

  • デザインの加工および変更/改訂を行ってデジタル出力およびアナログ出力
  • 映像コンテンツにおけるテロップ、フリップ
  • 許諾プログラムに基づき作成されたデジタルコンテンツをPDFファイル等にて複製、販売、頒布、公衆送信

詳しくはこちら

カタオカデザインワークス

以前こちらのブログでも書いた「丸明オールド」を作った会社です。
その他にも可愛いフォントが沢山あります。

使用できる範囲

書いてありませんでした。

別途契約が必要な場合

社名、商品名等ロゴタイプとして意匠登録をする場合、別途契約が必要となります。

詳しくはこちら

AXIS Font

読みやすさに定評のあるAXISフォント。
もともとは雑誌”AXIS”で使われていたフォントだそうです。
MacのWebページなどで使われていますね。

使用できる範囲

  • アナログ出力およびその販売、デジタルコンテンツのPDF 等での複製、およびその販売、頒布
  • 映像におけるタイトル、テロップおよびフリップとして使用・本フォントプログラムを使用して制作した映像コンテンツを複製、販売、頒布および公衆送信

別途契約が必要な場合

  • 機器への搭載、ゲームやその他のアプリケーションソフトウェア等への組込み

詳しくはこちら

デザインシグナル

可愛いタイプが多いデザインシグナルさん。
“キリギリス”や”バースデイ”などは最近いたるところで目にするフォントですね。
その他にも、書籍のタイトルで沢山使われているイメージです。

使用の範囲

  • 非商用(個人使用または団体および企業内で使用することにより、直接的な営業収益を生じない)に限定して使用することができます。
  • チラシ、カタログ、ポスター、キャンペーン広告などの一般印刷物に関しては、自由にご利用いただけます。
  • WEBページは画像処理して使用する分は可能です。

許諾を要する利用方法

  • 営利を目的として、フォントを印刷装置で印字したり、映像装置に表示すること
  • 営利を目的として、フォントをWEBページの文字表現のために使用すること
  • フォントをPDFデータに埋め込んで、不特定多数の第三者に配布配信すること
  • 営利を目的として、フォントをPDFデータに埋め込んで配布配信すること
  • 商標権を取得するか否かにかかわらず、フォントを使用して商標を作成すること
  • 商業放送のテロップ、フリップに使用すること
  • その他フォントを商用で使用すること

詳しくはこちら
こちらは、公式サイトに情報がのっていなかったため、designpocket様内にある仕様許諾ページの引用になります。

視覚デザイン研究所

太めで特徴的なフォントといえばこの会社。
最近流行りの太めの角張ったロゴなどは、この会社の”ラインG”などを元にしていることも多いのではないでしょうか。

使用の範囲

  • 営利・非営利目的の如何を問わず、本フォントソフトウェアにより文字組された本フォントを紙媒体に印刷すること。
  • 非営利目的により、ロゴタイプの制作に使用すること。但し、かかるロゴタイプについて、商標権、意匠権、その他の権利を取得することを除く。
  • 営利・非営利目的の如何を問わず、ホームページの制作に使用すること。但し、当該文字情報が、かかるホームページから完全に又は部分的に抽出ができない形式によることを条件とする。
  • 非営利目的により、映像作品の制作に使用すること。但し、テレビ番組の制作を除く。また、当該文字情報が、かかる映像媒体から完全に又は部分的に抽出ができない形式によることを条件とする。
  • 非営利目的により、遊技機、ゲームソフト、アプリケーションソフト、電子書籍、通信機器、情報サイン、メディアボード、デジタルサイネージなどの制作に使用すること。但し、当該文字情報が、これらが記録された媒体から完全に又は部分的に抽出ができない形式によることを条件とする。

許諾を要する利用方法(別途個別のライセンス契約が必要)

  • ロゴタイプ(企業名・商品名・サービス名など)
  • テレビ番組(テロップ・スーパーインポーズなど)
  • 映像コンテンツ(BD・DVD・CM・番宣・配信動画など)
  • ゲーム表示(ゲームソフト・ケータイゲーム・オンラインゲーム・遊技機・パチンコ・パチスロなど)
  • 写真シール製作機
  • その他の使用

詳しくはこちら

最後に

だいぶ駆け足になりましたが、いかがでしたでしょうか。
会社によって、緩かったり厳しかったりと様々ですね。

もちろん、購入(もしくは使用)する段階で、使用許諾には同意しているので、意図的に違反するのはもっての外ですが、
何かの拍子にうっかり破ってしまう可能性もあります。人間だもの。
街中で目にする広告に使われているフォントを”有名企業が使っているから大丈夫だろう”と何も考えずにうっかり使ってしまう可能性もあります。
しかし、その”うっかり”は、各方面の方々に多大なる迷惑をかけてしまう”うっかり”です。
冒頭で述べた、”私の周りで起きたフォント問題”は結構なおおごとになっていたみたいです。私は関与していないです。念のため。

そんなうっかりなミスを犯さないように、
普段使わない会社のフォントを使う際には、面倒ですが、事前に使用許諾を調べる習慣をつけようと思いました。
みなさまもぜひ。

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