今月、新潮文庫から新しいレーベルの書籍が刊行されました。
“新潮文庫nex”です。
先日、本屋に訪れたら平積みにされて置いてありました。
興味が湧き、とりあえず一冊購入して帰宅。
読書を始める前にこのレーベルについて少し調べてみたところ”ライトノベルの次”という位置づけを目指しているようです。
ライトのベルトは具体的に何が違うのか、同コンセプトで既存のメディアワークスとの違いは何なのかなどの疑問はひとまず置いておくとして、このブログでは調べていくなかで見かけた”新潮文庫nexのデザインについて”書いていこうと思います。
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文字へのこだわり
同レーベルについて調べるにあたり、手っ取り早く公式Twitterを覗いてみたところ、ちょうど使用しているフォントについて公式アカウントがアツい気持ちをつぶやいているのを発見しました。
以下は、その引用です。
【造本のこと、書体について②】新潮文庫に定まった「書体」というものは、ありません。ほとんどは、どの印刷所さんで刷るか、で書体が決まります。でも、新潮文庫nexは、書体を決めたい、と思いました。「小説」のラインナップになる以上、「物語を読む」ことに適した書体を使いたい、と。
— 新潮文庫nex (@shinchobunkonex) 2014, 8月 29
【造本のこと、書体について③】では、どんな書体が新潮文庫nexに合うのか。これは、難しい。ぱっと見て「かっこいい」書体が、「読みやすい」書体とは限りません。本を読む上で、書体は空気みたいなものです。なければ生きていけない。でも、存在は主張しない。何より、毒が入っていてはいけない。
— 新潮文庫nex (@shinchobunkonex) 2014, 8月 29
【造本のこと、書体について④】いろいろな文庫を手にとって、書体を見比べました。単行本も、改めて見直しました。普段は空気みたいなものだけに、注目すると、意外な発見も多く、驚きました。そうした過程を経て、うーーーーん、と悩み、迷い、考え、3つを選んで、サンプル本の完成です。
— 新潮文庫nex (@shinchobunkonex) 2014, 8月 29
【造本のこと、書体について⑤】刷りあがってきた書体をみて、「あ、イワタだな」と思いました。付言すると、イワタ明朝体は、新しい書体ではありません。活字時代から使われてきた伝統的な書体です。でも、その「古さ」がぴたりとはまりました。目の前にある原稿を届けるには、この書体が一番だ、と。
— 新潮文庫nex (@shinchobunkonex) 2014, 8月 29
【造本のこと、書体について⑥】その判断の結果は、読み手が小説を読んだとき、書体がどれだけ意識されないか、にあると思います。いまツイッターでこの拙い文を読んだ方も、読み終わる頃には、物語に没頭して、書体のことを忘れてくれている。そんな読書体験が訪れること、強く願っています。
— 新潮文庫nex (@shinchobunkonex) 2014, 8月 29
該当するツイートを引用すると大きな画像が出てきてしまうので省略しましたが、使用されているのは”イワタオールド明朝体”という書体だそうです。有名な書体なので見覚えのある人も多いのではないでしょうか。
他レーベルの文庫本が、フォントについてどれくらいこだわりを持っているのかというのは分かりませんが、このように言葉にされていると、只ならぬこだわりを感じますね。
そして、ほかのツイートを見る限り、この担当者さんは非常にアツイ人ですね。
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装丁について
少女漫画を始めとする漫画の装丁などで有名な”川谷デザイン”が手がけられていました。
私の買う漫画のなかでは”名和田耕平デザイン事務所”と同じくらいよく見かけるデザイン会社さんです。
そう言われてみると、今回発売されたラインナップのなかには、
大きめな表題と小さな英文が入っているものが多いです。
まさに川谷デザインさんらしい装丁。とても素敵です。
帯について
また、表紙だけではなく帯も目を惹くつくりでした。
銀色の帯に、所々ラメ箔が散りばめられていてキラキラと光っています。
なんとも豪華なつくりですね。否が応でも目立ちます。
ちなみに、この帯に関しては初版限定らしいので、興味のある人は早めにご購入しておいた方がよろしいかと。
カバーを外すと…
いつもの新潮文庫でした。いつものです!!
いままで散々、文字や装丁について書いておいてアレなんですが、このカバー下を見たときがテンションの最高潮でした。
正直な話、新しく刊行されたレーベルのデザイン周りに力が入るのはある意味当然のことだと思うんです。しかし、この”いつもと変わらないカバー下”。
“ライトノベルではなく、新潮文庫のレーベル内での次の領域”
というコンセプトがひしひしと伝わってきます。
最高にかっこいいです。
最後に
フォントから装丁、カバー下までアツいこだわりが満載な新潮文庫nex。
このアツさのままで、更なる試みなどが出てくるのでしょうか。楽しみです。
※購入した本はまだ読み終えていません。早く読まなければ…
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