デザイン業界で働く方にお勧めしたい漫画「お前は俺を殺す気か」

お前は俺を殺す気かcatch

デザイン業界で働く皆さんこんにちは。
今日も激務・薄給で頑張っていますか。
今回は、そんなデザイン業界で働くあなたにオススメしたい漫画を紹介します。

お前は俺を殺す気か 1

その好奇心が命取り。
同じ顔した美人が二人。「両手に花」か「進むも地獄、引くも地獄」か───。
「楽園」本誌で大人気の縺れに縺れて先が読めない男女関係、待望の第1巻。

シギサワカヤさんの『お前は俺を殺す気か』です。

“九月病”や”さよならさよなら、またあした”などで有名なシギサワカヤさんが、コミックアンソロジー「楽園」で連載していた作品がついに単行本化。

仕事ができるデザイナー”芝”と、新たに雇った凄腕の新人”橋本”との、三つ巴の歪んだ恋愛模様を描いた作品です。

シギサワカヤさんの漫画は、主人公がエンジニアやSEである場合が多いですが、今作は主人公の職業がデザイナー。
そうです。デザイン会社を舞台にした漫画となっております。

…概要についてはこれくらいで良いでしょう。
発売されたのが一年前ということもあり、漫画の感想については既にアマゾンレビューや個人ブログを検索すれば沢山ヒットします。
詳しい内容や感想はそちらを参照していただければ、この漫画の魅力が充分に伝わると思いますので、このブログでは”ザイナーにおすすめな理由”を書いていきますね。

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生々しい日常描写

この漫画をデザイン業界にお勤めの方にお薦めしたい一番の理由は”生々しい日常描写”にあります。

これからこの漫画を読まれる方には、本作の核心的な部分に加え、ぜひとも日常描写に注目していただきたいです。

一般的にイメージされがちなデザイン業界

一般的に、漫画やドラマなどに登場するデザイナーというものは、

  • お洒落な仕事
  • お洒落な私生活
  • 残業すらもお洒落
  • モテる
  • 抱いて!!

などのイメージとして描かれていることが多い気がします。
ドラマなどでデザイナー職を演じる人も大体が美男美女です。

ある種のアーティスト(と混同されがちな)デザイン職。お洒落じゃないはずがない。そしてモテないはずがない。

話がそれますが、これはIT業界にも同じことが言える気がします。
2012年に放送されたドラマ”リッチマン・プアウーマン”などはその典型的な例で、イケメンIT会社取締役である日向徹(小栗旬)は、まさに仕事のできるお洒落男子。
しかし、ドラマ的には小栗旬を”日本版ジョブズ”にしたかったはずなのに、番組内で作られるゲームやアプリが総じてダサかったため、”イケメンになったホリエモン”にしか感じられなかったことも非常に興味深かったです。

現実のデザイン業界

話がだいぶ脱線してしまいましたが、本筋に戻しましょう。

この漫画におけるデザイナーですが、

  • 新人の歓迎会をする余裕がない
  • 時間を問わずやってくる取引先からの仕様変更
  • 取引先からの無茶な要求
  • 寝てないんですけど…

デザイン業界で働く人にとっては、身に覚えがありすぎるのではないでしょうか…

この漫画の主人公は決して仕事ができないわけではありません。
むしろ、売れっ子デザイナーと呼ばれる立場です。

しかし、自分のデザインがボツを食らうこともありますし、理解しがたい先方の意見を反映させなくてはならない場面も出てきます。
作中において”サラッと作って、サックリOK”なんていう奇跡は起きません。
現実は甘くありません。

また、デザイナーはあくまで使われる側です。
お客様(依頼人)は神様です。
どんな時間のどんな内容の修正にも(基本的には)応じなければなりません。
そのために昼夜問わず働き続けます。

このような形態が良いのか悪いのかは置いておいて、現実はこの漫画に近いです。

お洒落な人間たちがお洒落なオフィスでお洒落に仕事をしながら、お洒落なプライベートな時間を送る。そしてたまにはお洒落な残業をする。
という幻想は決して存在しません。幻です。

このように切ない部分だけを書くとあまり羨ましくない職業に見えてくるから不思議なものですね。(もちろん程度の違いはありますし、会社によっては毎日定時で帰ることのできるホワイト企業もあることでしょう)

随分とネガティブなことを書いてしまいましたが、辛いこと以上に楽しいことも沢山あるんですよ。本当ですよ。

殺伐としたオフィス

この漫画では、主人公を除く二名が事務所内の険悪な空気をつくっていましたが、これもどこの会社でも同じようなことがあるはずです。

私にも、よく夕食を共にし、休日は遊びに出かけるようなとても仲のよい同僚(ディレクター職)がいますが、険悪になったことが沢山あります。

仕事でも仕事以外でも同僚には本当に感謝していますし、頭の上がらない思いでいっぱいですが、それとこれとは話が別です。仕方ないです。人間だもの。

この辺りの最悪な職場の空気というものも、上手く表現されていて読みながら非常に切ない気持ちになりました。

主人公が残念

また、主人公が仕事以外では残念だという事実もこの漫画の素晴らしいところです。
作中に、”主人公がイケメンである・ない”という描写はないのですが、外見はいたって普通。服装も普通。私生活は(仕事のせいもあり)酷いものです。
“仕事ができる”という一点以外においては、全く憧れません。

デザイン業界にも、イケメンでもなくお洒落でもない人は沢山いるんですよ?

具体例を示すなら、自分の顔と服装をお見せするのが一番早いと思うのですが…載せた私も、それを見たあなたも、とても切ない気持ちになること間違いなしなので、割愛させていただければと思います。
まだ半人前以前とはいえ、デザイナーになればイケメンでお洒落になれると思っていたのにおかしいですね?

だからこその非日常性

デザイン業界で働いている人は、なんとも言えない複雑な気持ちにさせられるこの漫画。ぜひ読んでいただきたいです。

しかし、このような日常描写がしっかりと生々しく描かれているから、
物語の核となる非日常(恋愛)の部分が、より一層際立っているのでしょうね。

いつか双子の美人さんと仕事ができるくらい売れっ子になりたいです。

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装丁について

最後に、上で商品画像も引用したことですし、本書の装丁について書いてみようと思います。

同著者の「ヴァーチャルレッド」は薄紅色のトレーシングペーパーがカバーに使われており、”カバーの有無で表紙の印象が大きく変わる”とてもインパクトの強い装丁でした。

それに対し、今回は白地に赤で、紙自体も特殊なものではないため、印象としては薄め…
と思っていました。書店で見かけたときには。

しかし、いざ梱包袋からとりだすと、感触に違和感が。なんだかぼこぼこしている…!!
人物に絡まっている紐と、タイトルの「殺」という文字にだけUV印刷が施されていました。
このように細かい部分の演出に拘る装丁。かっこいいですね。「粋」ですね。
「殺」と「粋」は字面が似ていますね。

表紙をデザインされたのは名和田耕平デザイン事務所さんでした。
シギサワさんの装丁はこの事務所さんが手掛けることが多いですね。
どの装丁もとても素敵です。

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